3月18日(日)、
この日のおとあそび工房は、
いつもの魚崎ではなく、和歌山でワークショップでした。
これは、和歌山大学で音楽教育を研究されている先生方と、
おとあそび工房、代表の沼田さんとの
共同研究の一環として行なわれました。
和歌山へは、電車組、車組、そして、
チャーターしたマイクロバス組で会場に集合。
バスの中では、子ども達がお菓子をほおばり、遠足気分。
和歌山に到着後に昼食を済ませ、
準備が済めば、いよいよワークショップ。
一週間前の11日に、和歌山一回目のワークショップがあり、
その時は沼田さん、鎌田さんのお二人で参加され、
和歌山で募集した参加者さん達とは、すでに関係を築いておられました。
とはいえ、会場である、
黒を貴重としたシックな佇まいの書道資料館、
いつもと違う場所、
初めて出会う和歌山の参加者さん達に、緊張感が漂う。
一回目のワークショップで参加者さん達が作った、
大きな絵が3枚有った。
これは、一枚の紙に数人が思い思いに描いて、
一つの作品にしたもの。
第二回目のワークショップの最初は、
おとあそびの会のメンバーが三枚の絵に合わせて
三組に分かれ、それぞれの絵を題材に、
順番にパフォーマンス。
そのパフォーマンスを見ながら、
同時に三人程づつその印象を絵にしてもらう。
大きな絵を題材にパフォーマンスをし、
そのパフォーマンスを絵にしてもらうという構図。
最初の大きな絵とは、また印象の違うそれぞれの絵が出てくる。
いつもと違う雰囲気に、
やや戸惑いを含みながらも、
いつものように楽しもうとメンバー達は、意気揚々。
まずは、渡瀬さんお得意の“わちゃラップ”を中心に、
子ども達が躍動する。
次に、太鼓と踊りが一気に場を引き締める。
最後の組は、題材の絵を譜面に見立て指揮をする。
一枚の絵の中の、色々な絵のパーツを指し示すと、
そのパーツに触発されて動く、音を出す。
それぞれの組のパフォーマンス中に書いてもらった絵を発表し、
ここで一度休憩。
第二部開始で、沼田さんから希望を聞かれると、
「歌」という声が上がる。
三人が出てきて、思い思いに歌を披露する。
見事にバラバラ。
しかし、そのバラバラな歌の重なりが、
思った以上に心地よく、面白い。
作品としては、一部の紹介パフォーマンスで、
おとあそび工房のお得意形式が出たのだが、
会場の雰囲気は、この「歌」が、
最もおとあそび工房っぽさが出ていた。
「次、踊りたい人!」
という沼田さんの声に反応して、
おとあそび工房のメンバー、和歌山の参加者さん達、
入り乱れて、楽しそうに踊る。
ピアノや、様々な楽器が勢いをあおっていく。
次は木琴。
数人が前へ出て好きなように演奏を始めるが、
太鼓や踊りが混ざり込んでいく。
あっという間に最後の時間が迫ってくる。
第一部のおとあそび工房の紹介パフォーマンスの時、
書いてもらった絵の中に、
たくさんの顔が描かれたものがあった。
それを作者に持ってもらう。
絵が描かれた表が見えると、皆が声を出す。
ひっくり返して真っ白い裏面になると声を止める。
そんな単純な遊び。
説明を聴くだけでは、何が面白んだろうと思ってしまう。
しかし、これも、非常に面白いものになった。
作者がなかなか表を見せない。
じらしてじらして、するうちに、
会場全体の意識が作者の動きに凝集する。
表が出ないイライラ、ワクワクといった焦燥・期待。
ちょっとしたことで、じらされている時間がキラキラしている。
チラッと絵の端がまくれ上がっただけで、
皆が待ってましたとばかりに一斉に声を出す。
が、一瞬でひっくり返されてしまう。
声を出すのも一瞬で途切れる。
フラストレーションが溜まる。
「ちゃんと出してくれ」
「しっかり見せてくれ!」
「声を出したい!」
そんな地味なやり取りが続く。
なんて贅沢で濃密な時間、空間。
しかし、これ以上続くと、飽きてしまうかもという、
良いじらし感が高まりきった頂点。
作者がパッと絵を表に掲げた。
「あー!」「わー!」
爆発するように声が上がる。
皆の意識を惹き付け、じらし、ずらし、
冷める前、高まり切る寸前での開示。
作者は、会場の雰囲気を見て、
計算してやっていたのではない。
後で聞くと、
もともとじらすのは好きらしく、
意図的であったようだ。
しかし、機を捉えることは、
計算ではできない。
計算してやると、
確実にそれらのタイミングはズレてしまう。
空気を読もうとしたら、
読んだ瞬間に次の空気に流れ、変化している。
だから、間に合わない。
それを、ワークショップ参加二回目の、
一般の参加者がやってしまう。
それは、技術では出来ない。
参加者達それぞれに、そして、その場の中で起ることに
ちゃんと関わり合って、
それに対して反射的に身体が反応して湧き起こる。
だから、その場に居る人全員の心が動く。
だから、面白い。
おとあそび工房の真骨頂が表出した。
そんなパフォーマンスが、
和歌山でのワークショップを締めくくった。
このワークショップも模様は、
和歌山の地元の新聞に掲載されました。
http://www.wakayamashimpo.co.jp/2018/03/20180322_78045.html
こちらも是非見てくださいね。
次回、おとあそび工房ワークショップは、
4月8日(日)
10時~12時
いつもの魚崎の
東灘区民センター小ホール
です。
文:白藤